『やがて君になる』は作者・仲谷鳰の連載デビュー作です。
月刊コミック電撃大王(KADOKAWA)にて2015年6月号から2019年11月号まで連載され、単行本は全8巻です。
累計発行部数が最終巻である第8巻の発売にともない、2019年11月27日に100万部を突破しています。
「好き」がわからない小糸 侑(こいと ゆう)と、人から向けられる「好き」と距離を置いてしまう七海 燈子(ななみ とうこ)。
2人の女子高生の恋愛模様が描かれた百合漫画です。
丁寧な絵で描かれる繊細な心理表現によって、心をつかまれるおすすめ百合漫画です。
それではあらすじ・見どころを紹介させていただきます!
あらすじ
高校1年生の小糸 侑(こいと ゆう)は恋愛への憧れはありつつも、誰かを特別に思う気持ちがわからずに悩んでいた。
侑が入部先に悩んでいると担任教師から生徒会に入ることをすすめられ、2年生で生徒会役員の七海 燈子(ななみ とうこ)と知り合う。
燈子は美人で優しく、成績優秀なこともあって多くの男子・女子生徒から告白されていながらも、「どきどきしたことがない」とすべて断ってきたことを知る侑。
この言葉で侑は、燈子が自分と同じで「特別がない」のだと感じ、悩みを燈子に打ち明ける。
すると予想外にも燈子は「君のこと好きになりそう」と侑に告げるのだった。
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見どころ
丁寧に描かれる繊細な心理表現
『やがて君になる』は侑と燈子を主として揺れ動く心を丁寧に描かれています。
恋愛がメインではありつつも、燈子が抱えている心の問題が大きな題材のひとつです。
そこをどのようにして乗り越えて行くのかが見どころのひとつになっています。
また、スパイス的に他キャラクターの話もあって物語全体に深みが出ています。
燈子の親友で生徒会役員の佐伯 沙弥香(さえき さやか)は、燈子に好意を寄せている特に重要なキャラクターです。
その沙弥香がなぜ女の子を好きになるようになったのか、燈子のことをどう考えて行動しているのかなどが描かれています。
他のキャラクターも、なぜそういった考えや関係に至ったのかが語られるのが面白いです。
それも短い話が物語の合間に差し込まれる程度なので、長すぎることは全くありません。
それに加えて絵が上手くてキレイなので、話により惹き込まれます。
侑の感情の変化
侑は「特別がわからない」という悩みがあり、それもあってか基本的にサバサバしていて感情の起伏が小さいです。
そんな侑ですが燈子と出会ってから、ひたすら燈子の言動や行動に振り回されていきます。
そのなかで侑は自分が感じている感情がなんなのか、ひとつひとつ嚙み砕いて確かめながら進んで行くのです。
「特別がわからない」侑ならではの恋愛の進みかたを感じられます。
ただいつもそうなのではなく燈子の好き勝手な振舞いに翻弄されて、時折みせる侑の表情がすごく可愛いです。
普段が落ち着いている分、より際立ちます。
こういった侑の感情の動きや変化も注目ポイントです。
侑と燈子の関係性
侑は背が小さく可愛い外見なのですが、冷静で落ち着いていて面倒見がよく、お姉ちゃん気質です。
燈子は背が高く美人なのですが、侑の前では甘えん坊でスキンシップをグイグイ求める妹気質。
この見た目とのギャップが個人的にすごくよかったです。
通常の燈子は周りから好かれる完璧な自分を演じているため、ボロが出ないように気を張って生活しています。
それもあって侑と過ごす時間では、素を出してかなり甘えてしまうのです。
そんな燈子を余裕のある、やれやれといった態度で受け入れる侑がこれまたいい。
物語が進むにつれてこの関係性に変化が生まれていきます。
とくに最後の8巻では、これまでの落ち着いた侑を見てきたからこその可愛いさが詰まっています。
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まとめ
『やがて君になる』は百合漫画を普段読む人にも、読まない人にもおすすめできる内容になっています。
女性同士の恋愛でありながらも、そこから生じる重い展開は特にないからです。
そのぶん侑と燈子の関係性に集中できますし、全8巻ということもあってサラッと読めます。
ぜひ一度お手に取って読んでいただけると嬉しいです。
それではここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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●『やがて君になる』はアニメ、アンソロジーコミック、小説もあるので以下に概要をまとめておきます。
製作会社TROYCA、2018年10月5日から12月28日まで放送の全13話です。
作画・内容ともに原作に忠実ですごくおすすめです。
ただ完結はしておらず、続きを漫画で読む必要があります。
詳細は以下の記事に書いてありますので、よければご覧ください。
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KADOKAWAanime公式YouTubeチャンネル TVアニメ『やがて君になる』 PV 第1弾
全2巻。
2巻目は原作者の仲谷鳰による完全新作の短編も特別収録されています。
入間 人間 (著)、仲谷 鳰 (原著、イラスト)
全3巻の小説です。
タイトルの通り佐伯沙弥香が主人公の物語になっており、漫画での高校時代よりも前、そしてその後まで書かれています。
沙弥香の恋路を見届けたい人は必読です。