2024年6月28日公開のアニメ映画『ルックバック』
原作：藤本タツキ、監督・脚本・キャラクターデザイン：押山清高、アニメーション制作：スタジオドリアン
こちらのあらすじ・みどころをネタバレなしで紹介させて頂きます！
あらすじ
主人公は小学４年生の藤野。
自信家でお調子者といった性格で、絵が上手くて運動も出来るといった万能タイプな女の子。
藤野は毎週配られる学年新聞に４コマ漫画を二つ描いており、クラスメイトからは絵が上手くて面白いと人気があった。
ある日、隣の組にいる不登校の女の子・京本が４コマ漫画を描きたいと言っていることから学年新聞の一枠を譲ることに。
そして次の学年新聞、京本の４コマ漫画を見て藤野は唖然とする。
京本の絵は人物のいない風景画だったのだが、圧倒的な画力だったからだ。
自分が一番絵が上手いという自信があった藤野は、自分よりも絵が圧倒的に上手い同級生がいることに打ちのめされる。
そこから藤野は「同学年に自分より絵が上手いやつがいるのは許せない」と、脇目も振らずひたすら絵を描き続けるようになる。
だが小学６年生になってからのある日の学校新聞で、自分の画力が京本に追いつけていないことに気付き、やる気を失ってしまう。
藤野はそれきり漫画を描くことをやめて、そのまま卒業式を迎える。
卒業式当日、藤野は教師から卒業証書を京本の家まで届けてくれと頼まれる。
嫌々ながらも断り切れず、京本の家を訪ねる藤野。
そこで藤野は、興奮して熱くなった様子の京本から「ずっと藤野のファンだった」ことを告げられる。
京本という１人の熱いファンがいることを知った藤野は、また漫画を描くようになる。
その後二人は一緒に漫画を描くようになり、世に作品を生み出していく。
しかしある日、理不尽にすべてを打ち砕く事件が起きてしまい・・・
PV
みどころ
キャラクターの表情・動きによる感情表現
キャラクターの感情表現がとにかくすごかったです。
僕は冒頭の藤野が学年新聞で初めて京本の絵を見た時の、あまりの絵の上手さに唖然とする表情描写で心を掴まれました。
原作者の藤本タツキ先生の絵があってこそではあるのですが、アニメならではの表情の動きにグッときました。
また、藤野が卒業証書を京本の家に届けに行って、初めて二人が顔を合わせる時の京本の表情にも惹き込まれました。
ずっと不登校だった京本にとっては、学年新聞に載っている藤野が描いた４コマ漫画がとても特別なものであることが伝わる描写でした。
だからこそ京本が藤野と顔を合わせた時の、普段人と会っていないからこその恥ずかしさ・照れがありつつも、好きな４コマ漫画を描いていた藤野に会えたことへの興奮が抑えられない表情・声でとても純粋な気持ちが表現されていました。
その後の京本家からの帰り道、藤野は京本という１人のファンから熱烈な好意を伝えられて、どんどんテンションが上がっていく描写もたまらなく良かったです。
他にもお気に入りのシーンを語るとキリがないのでやめておきますが、作品全体を通して繊細な表情・動きの描写で藤野と京本にどっぷりと感情移入できました。
僕は特に京本の無邪気な表情や動きが本当に大好きです。
是非みなさんにも味わって頂ければと思います。
線画のこだわり
『ルックバック』の線画は、普段観るアニメとは違う印象を受けました。
基本的にアニメだと顔・身体どれも線が途切れたりせず、きれいな線での一本描きになっています。
かつ線の太さは均一であることが多いです。
その点、『ルックバック』は線画が一本描きではなく複数の線で構成されています。
例えば、顔の輪郭・身体の途中で線が一旦途切れて、また線が始まっている。
あえての線のつぎはぎ感を出している。
線の上にまた線が重ねて描かれていて、一本描きではなく重ね描き感を出している。
身体・服などの線が少し飛び出している時がある。
こういったことから手描き感というか、漫画っぽさが演出されていました。
また線の太さが均一ではなく強弱を感じるようになっていることで、原作の藤本タツキ先生の絵を映像で表現しようと工夫されていると感じました。
それによって映像に迫力を感じられたし、キャラクターの繊細な表情の表現にもつながっていて、とても良かったです。
あっという間の５８分
そもそも映画としては短い時間の作品ではあります。
だとしても、この５８分という時間が本当にあっという間でした。
そのぐらい引き込まれる内容だったし、他のことを考える隙のないほどに濃かったです。
なんといっても感情をブンブンと勢いよく振り回されますし、テンポ良く話が進むので退屈している暇はありません。
僕は観終わった後もこの『ルックバック』についてずっと頭を支配されており、上映時間の５８分よりもその後の考えている時間のほうが長いという状態でした。
この『ルックバック』というタイトルにどれほどの意味を込めて作られているのか、あなたも観終わったら色々と考えることになると思います。
映画『ルックバック』は原作を忠実に再現されており、かつ部分的に細かな演出を加えることでより藤野と京本の心情が伝わるようになっていると感じました。
映像の美しさ、声優さんの演技力も相まって、とても濃い時間を過ごせます。
まとめ
僕は映画ルックバックを観終わった後、車に戻ってすぐに来場者特典の冊子を読み、帰ってすぐに原作を買って読みました。
僕の中では久しぶりに大きな衝撃を受けた作品となりました。
BD発売したら確実に買うことを勝手に宣言しておきます（笑）
物語に関してはもちろん好き嫌いがあるので絶対はないのですが、全力ごり押しで皆に観て頂きたいとおすすめします。
そして皆さんの心にも何か感じるものがあると嬉しいです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。